2012年06月12日

夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度

 寝姿山と並んで下田を代表する山である「下田富士(191m)」の登頂に、今回成功したので報告させていただきます。この山は、「下田富士」という名前こそ出てこないようですが、伊豆下田を舞台にしたアニメ「夏色キセキ」の映像にも頻繁に登場しています。
この「夏色キセキ」の第1話「11回目のナツヤスミ」では、「御石様(おいしさま)」と呼ばれる神社にある石の魔力で4人の少女たちが下田の空を飛ぶシーンがありました。テレビを観た人でしたらきっと鮮烈に印象が残っていることと思います。

 これをご覧になった火山学の権威でアニメにも幅広く精通していらっしゃる「うさ博士」様は、テレビで4人の少女たちが飛んでいた場所を瞬時に下田富士上空と判断された(2012.4.24Twitter参照)。そして、地形の数値データを3Dソフトにプロットして、この3D画像とアニメの比較を行った(2012.5.12Twitter参照)。

今回の登山は、うさ博士の学説を実際の現場にて検証を行うことにより、夏色キセキに登場する環凛子の自宅である神社と御石様の位置の特定し、4人が飛んだ高度を確認することを主たる目的としている。また、ついでではあるが、最近メタボ気味である小生の生活習慣病予防も兼ねていることをお断りしておく。

夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ これは下田公園から北方を眺めた風景です。テレビアニメの夏色キセキを見ている人に
はもうおなじみの景色ですね。稲生沢川をはさんで左(西)に見えるのが下田富士。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ EDで見る風景。これは駅前(出口)から見た下田富士。この稜線に登山道がある。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 下田の街を挟んで東側の寝姿山から見た下田富士。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 北側から見た下田富士はとんがって見える。(伊豆急線が稲生沢川を横切る中村大橋付近から撮影)
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 西側から見た下田富士。かつて採石場だったようである。節理の発達した緻密な安山岩の絶壁(敷根地区)
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 下田富士の登山口は下田駅のすぐ近くの南麓にある。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 急な石段を登ると、息が切れる。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 103段の石段を登りきったところに龍爪神社があった。ここからは一本道の登山道。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ しばらく登ると右(東)側の視界が少しだけ開ける場所がある。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ さらに登って左(西)側の金網を越えて覗くと断崖絶壁。五個上↑の写真を上から見た図。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 「是より上女きんせい」と書いてある。女性は登ってはいけない?ようだ。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 東側斜面は急傾斜のため表土が薄く、いたるところに岩肌が露出。浸食により磨かれて見かけ上マッシブに見える。下田富士はそのすべてが安山岩の貫入岩体が隆起浸食により残った火山岩頸から成っている。火山の根っこだ。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ さらに登ると足元にも露岩が出る。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ さらに登る、一部2~3m厚でマッシブな部分もある。が、
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ その先からは、南北方向の板状節理(N25°W~N20°E、70~90°W)が発達。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 7~8合目くらいだろうか?ようやく視界が良い場所が。後ろ(南南東)を振り返ると下田湾の入り口が見える。左は須崎半島。少しだけ視線を右に移し南側を見ると次の写真だ↓

夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ うさ博士作成の下田富士上空(対地高度250m)から南を見る図。カシミール3Dと基盤地図標高5mメッシュ使用。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 実際の景色と(水平)方向的には一致する。しかし、鍋田の浜や湾がまったく見えない。下田海中水族館のある赤根島も頂部がわずかに見えるのみ。そうだ、高度が足りないのだ。ちなみにこの場所の標高は170m前後である。うさ博士の図と同じ鳥瞰を得るために標高約190m下田富士の上空250mまで上昇しなくてはいけない。つまり海抜440mである。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 東側の木々の隙間を見ると下田の街と寝姿山がセクシーである。寝姿山は時代的には、下田富士と同じ白浜層群堆積期の貫入岩の火山岩頸であるが、あちらは流紋岩である。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 板状の節理の方向は山頂まで南北センスであるが、登るにしたがって節理が発達。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 疲れてきたが、右(南東)を見ると下田湾と犬走島が少し見えた。スフィアが歌う夏色キセキのオープニング曲「Non stop road」が脳裏に流れ、きつい上りが下り斜面に感じられ自然に足が進む(ウソσ(^_^;))
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 着いたー。ここが山頂。浅間神社がある。でもアニメで見る凛子の神社に比べるとかなり貧弱だ。御石様も凛子の住む家も無い( ̄▽ ̄;)!!ガーン
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 150年以上前にペリー?が落書きをした木が、大正9年頃まであったそうだ。
夏色キセキに見る下田のジオ③ 下田富士と4人の飛行高度
 ↑ 「宝永7」は1710年だ。300年以上前。でも安山岩が貫入した年代(1000 万~200 万年前)に比べたらめちゃくちゃ最近だ。

まとめ

・夏色キセキの第1話で4人の少女が飛んだ場所は、下田富士上空である。したがって凛子の神社の仮想的な位置は下田富士山頂である。

・4人の少女が飛んだ高度は、対地高度250m(海抜440m)である。

・現在、山頂には、凛子の神社、住まい、御石様は存在しない。質素で趣のある神社があった。

・.なまった体に上り道はきつい。


反省

 夏色キセキの第1話を見た際、すぐには、凛子の神社からの風景が下田富士上空からのものであると認識できなかった。頭の中に平面図の地形しか入っていなかったためである。その点、火山屋さんである博士は頭の中に3Dの鳥瞰図が入っているので、瞬時にビューポイントを特定したのだ。地形を見る際は3次元で見よう!分かっていても意外と難しい。見慣れた風景でも見る角度によって異なるから面白い。たまには高い所に登ってみるのも良いですよ!



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Posted by さざえさん at 12:44│Comments(0)ジオな気分
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